こんにちは。ぶだう酒屋のアドバイザー、日本ワインLOVEの古賀です。
2018年10月30日。日本ワインにとって記念すべき日です。今日から日本ワインの表示基準が正式に変わります。
その中でも一番のポイントは日本ワインと国産ワインの違いが明確に決められたことです。
日本ワインと国産ワインの違いをひとことで言い表すと次のとおりです。
- 日本ワイン:国産ぶどうのみを原料として、日本国内で製造されたもの
- 国内製造ワイン:日本国内で製造された果実酒・甘味果実酒
※日本ワインの表示基準のもう少し詳しい説明は当店のソムリエ寺井より、このページの下の方で説明しています
そんな記念すべき日に、「ぶだう酒屋」は開店いたしました!
これから日本ワインの魅力を皆様にお伝えできるサイトとして精一杯がんばりますので、よろしくお願いいたします。
日本ワインの魅力
改めましてこんにちは。ぶだう酒屋のアドバイザー、日本ワインLOVEの古賀です。
私は福岡県北九州市若松区でお酒の卸問屋をしているのですが、10年以上前から日本ワインに興味を持ち、その後日本ワインの魅力にとりつかれました^^
そして、本格的に日本ワインを応援したいと思い、販売を始めました。
ただ、自分自身の未熟さと経験不足の状況では応援すれども思うように実績が上がらず、やはり実店舗が必要かと苦慮していたところでもありました。
そんな中、同じ福岡県北九州市のシニアソムリエで私が以前1年間、ワイン教室に通った際の先生でいらした寺井剛史ソムリエが一緒にネットショップを立ち上げないかと声をかけてくださいました。本当にご縁に感謝しております。
日本ワインの味わいに可能性を感じた日
私が日本ワインに興味を待ちはじめてからしばらくは、近郊の九州と山口のワイナリーを訪問して見学やワインの購入などをしていました。
そして私の人生を変える機会がおとずれます!
私の記憶がただしければ2007年。
日本ワインコンクール(当時の名称は国産ワインコンクールでした)で受賞したワインの公開テイスティングに参加する機会に恵まれました。
ワインに関しては素人同然の自分だけでは不安だったのでソムリエの資格を有する友人(寺井さんではありません)を誘い、山梨県甲府の会場に向かいました。
当時は今のように超満員ではなく、比較的ゆっくりと試飲ができ、ワイナリーの方との話も可能でした。そして試飲していて愕然としました。
「これは予想以上にスゴイぞ!絶対、日本ワインの時代がやってくる!!」
そう思ったものの、先ほど申し上げたように私はソムリエでもありませんし、ワインの知識や味についても卸問屋の立場での経験しかありません。この直感を信じていいのかと思っていた矢先、同席していたソムリエの友人が私のところにやってきて
「古賀さん、日本ワイン凄いですよ!面白くなりますよ!!」
とのコメントを発しました。
彼は日本ワインに対する評価が一変した様子で、それを聞かされた私は沸々と闘志が湧いてきたことを今でも鮮明に思い出します。
その日は勝沼の民宿に泊まり、ソムリエの友人と甲州を飲みながら明日は何処のワイナリーを訪問しようかと、深夜まで熱く意見を交わしました(笑)
日本ワインは生産者と会え、ぶどうを見ることができるのも魅力
さて、翌日はワイナリー巡りです。
前日の日本ワインコンクール会場でのワイナリーの方々の説明でも感じたことですが、ワイナリーを訪問すると、どのワイナリーの方々もワインについて熱心に説明してくれ、またワインについての思い入れも半端ない(笑)と感動したことを思い出します。
それから今まで毎年欠かさず日本ワインコンクールの公開テイスティングには足を運び、日本ワインの品質向上と年々盛況となる日本ワインコンクールを満喫しています。
もちろんワイナリーの方や会場で知り合った友人との再会、新しいワイナリーへの訪問等その時は充実した時間を過ごすことが出来ています。
日本ワインのよいところは、素晴らしい味わいもさることながら、輸入ワインではそう簡単にできないワイン造りの現場、生のぶどう畑を見ることができ、ワイナリーの方々の熱い想いを感じながら飲むことができることです。
ぶだう酒屋の「こだわり」
この時の経験から当店で取り扱う全てのワインは、事前に造り手の方とお会いしたことのあるものだけです!
興味があるけどお会いするに至っていないワイナリーのワインや、お会いしたものの私が造り手の想いを伝えるのには力不足だと思ったワインは取り扱っていません。
例えば、最初に取り上げるワイナリー「丸藤葡萄酒工業」の大村社長は、はじめて訪問した日が会社の休みにもかかわらず自らブドウ畑の案内、ワイナリーの案内を熱心にしていただきました。そしてその後も何度となく訪問しましたが、社員の方も同様の対応をしていただけます。
このように最低でも一度はワイナリーを訪問して現場を見学して生産者に会ってみることを自分自身のモットーとして日本ワインを応援しています。 これから日本ワインに関心を持たれた方は、是非とも実際にワイナリーを訪れ自らの肌で感じ取っていただきたいと思います!
私のように人生が変わる方もいらっしゃるかもしれませんよ^^
ぶだう酒屋の名前の由来
こんにちは。ぶだう酒屋のソムリエの寺井です。私が古賀さんとはじめてお会いしたのは2012年だったでしょうか。カルチャーセンターのワイン教室を古賀さんが受講してくださってからのご縁です。
古賀さんは1年間通ってくださり、その後はお互い簡単な連絡はとりあっていました。
そして、2018年10月。カルチャーセンターのワイン教室で「日本ワイン特集」をすることになった際に、古賀さんに日本ワイン選びと取り寄せを手伝ってもらいました。
そのなかで古賀さんの日本ワインに対する熱い想いをうかがっているうちに、輸入ワイン中心に勉強している私も古賀さんと一緒に日本ワインを勉強したい!と思い、この日本ワイン専門通販店「ぶだう酒屋」を立ち上げるきっかけになったのです。
話はかわりますが、実は北九州市の小倉は国内のワイン発祥地かもしれないということをご存知ですか?
それまでは、日本のワイン醸造は明治時代、1874年に山田宥教(ひろのり)、詫間憲久(のりひさ)が甲府ではじめての日本ワインが造ったのが最初だと言われてきました。
2016年、熊本大学の永青文庫研究センターが所蔵している文書によって、日本ワインが明治より250年も前に造られていたと思われるようになりました。
日本でのワインの歴史は浅く、醸造が本格化したのは今から150年ほど前になります。ところが、九州の藩主がワイン造りを命じる400年前の古文書が熊本大学の永青文庫研究センターによって発見されました。
この文書にはなんと次のように書かれています。
「ぶだう酒を作り申す時分にて候間、上田太郎右衛門に便宜次第申遣作せ可申旨、御意之由」(ワインを造る季節になったので、上田太郎右衛門に準備させ造らせるようにとの主のご命令である)
https://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2017-01/ku-k011617.php
そしてさらに、
記載が発見されたのは「奉書」という藩主の命令を記した文書です。この文中の藩主は細川忠利、当時、日本の九州北部の小倉藩を治めていました。1628年の8月28日に、家臣の上田太郎右衛門にワイン造りを命じていることがはっきり記録されていたのです。さらに同年9月15日には、別の家臣にもワイン造りを教えるよう、上田太郎右衛門に命じています。
https://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2017-01/ku-k011617.php
とも書かれています!
はい^^
「ぶだう酒屋」の店名の由来ですが、日本ワインにとって記念すべき日に、北九州の小倉で立ち上げるお店の名前は、やはりここからあやかろうということで、ぶだう酒を作り申す時分にて候…という記載より、「ぶだう酒屋」という店名にしました^^
日本ワインと国産ワイン ~記念すべき日に何が変わったか~
では、「2018年10月30日。日本ワインにとって記念すべき日です。」と古賀さんが最初に言っていましたが、今回の日本ワインの表示に関する変更はどんなものなのかを説明してみましょう。
といっても、全部説明すると結構難しいですし、長くなるので、皆さんにとって分かりやすい部分をピックアップしてみたいと思います。
実は今までは、日本のワインに関して、法律で定義された区分がなく、酒税法による酒の分類によっていました。それはどんな分類かというと、まず全ての酒類は次の4つに分けられます。
- 発泡性酒類
- 醸造酒類
- 蒸留酒類
- 混成酒類
そして、ワインは醸造酒の中の果実酒に含まれるというものです。
良い機会なので、醸造について少しだけご説明しますね。
酵母(こうぼ)のはたらきにより糖がアルコール(と二酸化炭素)に変わること
糖(+酵母)→アルコール&二酸化炭素
お酒はこの醸造によってできるのですが、穀物原料の醸造酒と果実原料の醸造酒があります。
日本酒は穀物であるお米が原料ですよね。
そして、果物が原料のものが果実酒です。ワインはこれに分類されるわけです。
〇〇ワインって・・・
さてさて、この果実酒の区分で私たちソムリエがちょっと困っていることがあります。ワインについて例えばEUでは、
ワインは新鮮なぶどうまたはぶどう果汁を醸造した酒
という区分があります。
しかし、日本にはワインに対する基準はさっき書いたように醸造酒のうち、果実原料のものという区分なので、梅ワインとかイチゴワインなどが存在するんです。つまり世界的に見ると、ワインはぶどうからできたものだけど、日本ではそうとは限らないのです。
で、どんなことに困るのかというと、お客様に「梅ワインってゆーのがあるんですよね」とか「梅ワインって何ですか。梅酒と違うんですか」と聞かれることです。
決して(ぶどうの)ワインに梅をつけているわけではありません(実際、そう思っている方もいらっしゃるんです)と^^
さっきの酒税法の分類だと混成酒ですね。
つまり、日本ではワインはぶどう原料とは限らず、いわゆるフルーツワインというジャンルがあるということです。
まぁ、それがあること自体は良いといえば良いのかもしれませんが、国際社会の中でワインはぶどうが原料という前提が崩れるのはやっぱりちょっと問題な気がします。また、国際基準までいかずとも私がお客様に接客するなかで、ワインのことを説明している最中、「えっぶどうなんですか!?」なんてなるとやっぱり困ります。
あと、○○ソムリエ困ります(笑)。時々ソムリエですと言うと「何のですか?」と・・・。レストランでソムリエ服をきていても言われたことありますから(^^ゞ
ワインソムリエの寺井さんと紹介されたりしても、ソムリエ=ワインの前提が崩れているのか・・・と。やっぱり共通の前提意識が異なると困りますね。
輸入濃縮果汁原料のワイン
さて、酒税法の区分だけでは水を加えることも可能なので、濃縮ぶどうジュースを輸入して、水で還元して、酵母を加えて発酵させても国産ワインと名乗ることができます。
主要なワイン産地では考えられない方法ですが、日本ではOK!
皆さんは「でもそんなワイン、あんまりないんでしょ?」と思うかもしれませんが、まぁボチボチあるといえばあります(^^ゞ
でも、今までそれを記載する義務はなかったんです。
そこで2015年10月に日本ワインの表示基準が制定されました。
- 日本ワイン:国産ぶどうのみを原料として、日本国内で製造されたもの
- 国内製造ワイン:日本国内で製造された果実酒・甘味果実酒
今までは両方とも国産ワインだか日本ワインだかの俗称だったのですが、これからは輸入ぶどう原料や輸入濃縮果汁原料のものは日本ワインとは異なるということです。もちろん、ぶどう以外のフルーツワインも日本ワインではありません。
またこれにともない、次のような変更もあります。
- 日本ワインに限り、ラベルに「日本ワイン」という表示が可能(表ラベルは任意、裏ラベルは必須表示)
- 日本ワインは、一定のルールの下、地名やブドウの品種名、収穫年を表示できる(85%以上の仕様比率で)
- 国内製造ワインのうち、日本ワイン以外のワイン(輸入ワインや濃縮果汁)などの海外原料を使用した場合、表ラベルに「輸入ワイン使用」「濃縮果汁使用」などの表示をする義務
- 「日本ワインであること」「原材料及びその原産地名」の表示義務
ただし、フルーツワインに関しては、今回の変更で大きな影響は受けていません(笑)(^^ゞ
ラベルに果実名を入れないといけないことや、裏ラベルの表示義務は追加されましたが、ぶどうのワイン(こう書かないといけないのも、なんか変な感じ)のように、濃縮果汁使用などを表ラベルに書く義務はありません。
念のために言っておきますが、私は国産ワインがダメだと言っているわけではありません。日本のぶどうを使う日本ワインだとしても、そもそもぶどうの質が悪ければ美味しくないわけですから。
たとえば、キッコーマンさんのマンズ・モンフレールというワイン。今は大容量シリーズだけになり、瓶のボトルワインはなくなってしまったと記憶しているのですが、確かそのボトル価格は1本400円前後のだったと思います。
このマンズ・モンフレールは、表示義務がないころから堂々と【濃縮輸入ぶどう果汁使用】と書いている良心的なワインで、400円前後の価格としては十分の国産ワインでした。料理用と併用するのに買っておけば、料理に使いつつ、軽く晩酌したりとかに好都合のワインだなぁ^^とずっと思っていましたよ♪
でも、ひとまず日本のワイン業界にとっては今回の新しい表示基準は、かなり大きな変化だと思います。
多くの一般消費者の方にとっては、そこまで影響ないかもしれませんが、ちょっとこだわっている方にとっては選定基準ができますし、あとは私たち販売者、そしてそれ以上に日本のワイン農家(ワインを醸造している企業の方は日本ワイン、国産ワイン両方造っていることも多いでしょうが、小規模で自社でぶどうを栽培して、それを醸造している農家であり醸造家である生産者さん)にとっては、堂々と日本ワインと言えるようになったのは、本当に大きな変化でしょうね。
まとめ
皆さん、いかがでしたでしょうか。
今日という日が、日本ワインにとってどれだけ特別な日なのかが寺井ソムリエの説明でおわかりいただけたでしょうか。
また、私の下手な説明ではありましたが、日本ワインの魅力も少しは伝わったでしょうか。
これから、二人でこの日本ワイン専門店「ぶだう酒屋」を育てていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!